ハセガワ1/700戦艦三笠を作る! ~初心者におくる、ためになるしくじり談~
本記事で紹介する戦艦三笠の完成記事は、既に5月27日に合わせてアップしました。
なので、本記事はその製作記事になります。
この三笠のキットは、知名度の高い 東郷平八郎司令長官、または秋山真之参謀の ホワイトメタル製フィギュアのいずれか一つを同梱した、日本海海戦120周年記念版になります。
日本海海戦は 歴史のターニングポイントともいえる海戦でしたから、その120周年という節目には もっと全国的に 盛り上がってもよさそうなものだったのですが、あまりオールドメディアでは 取り上げられませんでしたね。
それはともあれ、「坂の上の雲」を 複数回読了した身としては、ぜひこの機会に三笠を作ってみたいと奮起したわけでした。
ちなみに、「坂の上の雲」で描かれた内容は、全てが全て史実ではなく、著者である司馬遼太郎による脚色がかなり強いそうです。
歴史小説家の常ですが、歴史小説とは 歴史上のイベントを ドラマ仕立てにして、筆者の心に思うテーマを上乗せして文章が作られていったものですから(テーマは後付け、というエンタメ作品もありますが)、書かれている内容を すっかり史実と思いこむのは 赤っ恥をかく羽目になります。
そういう視点で色々な歴史小説を読んでみますと、わたし個人がおススメするのは、山岡荘八の「徳川家康」「太平洋戦争」でしょうか。ちょっと説教臭い部分もありますが、大変ためになると思います。
前者の「徳川家康」は、人生観や上司としての心構えを知るうえで勉強になります。
一方、「太平洋戦争」の方は、昭和に発刊された本であるにも関わらず、旧日本の戦争を自虐していない点が興味深いところです。
わたしの記憶では、日本の自虐史観を改めようという運動は、2000年前後の「ゴーマニズム宣言 戦争論」あたりから ようやく盛り上がってきたように思います。それまでは、「とにかく日本は邪悪帝国だったのです」の論調以外は弾圧されていました。
が、バブルが弾けて 日本が自信を失ったことをキッカケに、「いいや、そんなに俺たちは悪くないんじゃないか」という意識が共感されるようになった、というのが体感としては正しい認識なのではないでしょうか。
なので、さきほど「昭和に発刊されたにも関わらず」と表現しましたのは、そういう民衆の全体意識が変容する以前に発刊されたにも関わらず、という意味なのです。
もし、大勢の国民が なぜ日本がアメリカと戦争する羽目になったのか、というもっとも大事な点を学んでいれば、あのコロナ騒動の乱痴気騒ぎは起こり得なかったはずです。
さて、まだまだ演説したいところですが、製作記事を。。。
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いきなり なんの写真なのか。
実は、この三笠にはカッター収容クレーンの 増設パーツが付属しています。
艦尾側に取りつけるのですが、これは製作過程での選択式なんです。
そこで、組立後でもネオジム磁石でコンパチできるようにしたいと企んで、艦体内部にネオジム磁石を接着してみたんです。
が、結果的に使うことはありませんでした。
こんなことに気を回すくらいなら、後述するように、艦底に土台を固定する穴でも空けておけばよかったです。
これは、船窓ひとつひとつをピンバイスで開口したときのものです。
穴を空けるだけでいいかな、と思ったのですが、このあと さらに欲が深くなります。
蓄光パウダーを溶かした透明uvレジンを、船窓ひとつひとつに流し込んで固めました。
あと照明灯と艦橋の窓ですね。
艦隊内部からのチョン付けですので、見た目ほど手間ではありませんでした。
得られる効果が大きかったことを考えると、この作業は正解だったかな、と思っています。
ネットでカッターのディティールを調べると、どうも鎧張という方法らしいです。
最近多様している、ラベルシールを短冊状に切って段々に貼ろうかとトライしたのですが、微妙なアールがうまくとれませんでした。
なので、フリーハンドでスジボリを追加して それっぽくしています。
でも、細部に神は宿るのですから このカッターの処理は もう少し頑張ってもよかったかな、と思います。
最大の失敗である、エッチングパーツ。
ランナーから外す前に、プライマーを塗布したあと 艦体と同系統のグレーを塗っておきます。
ネットの製作記事を参考にしながら、瞬間接着剤を使いながら地道にエッチングパーツを接着していきます。
ハセガワのエッチングパーツは 他ブロガーさんの指摘とおり、ちゃんと折り目で曲がってくれる優れものでした。
ちなみに、このとき使うピンセットは、精密作業用でなければムリです。
今まで使っていたピンセットではなく、先端が刺さりそうな精密用を100均で購入しました。
さて、わたしの失敗は、このエッチングパーツの取りつけを、キットの砲塔を取り付けた後にしてしまったことです。
写真で示しているとおり、手すりを敷いていく際に、砲塔がジャマなんです。
というか、作業中にポロポロ落ちたりしました。
幸い紛失には至りませんでしたが、キットの組み立ての途中段階でエッチングパーツを使うことを決心していれば、もっと作業の順番を工夫できたはずです。
現に、艦橋下部の部分には、本来いれておくべきエッチングパーツを入れられませんでした。煙突やらカッター置き場やらがジャマして、1-2ミリサイズのパーツを奥まで入れられなかったのです。
ですので、もしこれから三笠――に限らず、艦船モデルに取りかかろうという初心者の方がおりましたら、「エッチングパーツは後からつけるもんじゃなく、キットの製作途中から追加するもの」という認識をもってほしいです。
さて、塗装については、木製甲板への染み出しが怖かったので、元のキットの原型色を活かす方針にしました。
原型色が濃い目でしたので、各部位のエッジや奥まったところほど 原型色を残し、光のあたるところや 面の中心付近にあたるところを、原型色よりやや明るめのグレーで 擦るように塗りました。
「ドライブラシほど乾かさないけど、ドライブラシ的に擦って塗る」です。これでグラデーション効果が得られました。
なお、砲塔の長さが不揃いになっているのは 作業中に持つところがなくなったせいで、うっかり自分の指で砲塔を折ったり 船体から剥がしてしまったり、というトラブルが続出したためです。
艦船モデルを製作する際は、最初期の段階で持ち手を確保しておくことが重要だと思います。
海面ですが、これはネットで話題の アルミホイルを使った方法を採用しました。
なぜならカンタンそうだったからです。
アルミホイル全体にプライマーを塗ったあと、青のアクリル塗料を塗っていきます。
波の部分は、青塗料が乾ききる前に白塗料を塗って、境界がぼやけるようにしました。
先人たちの教えのとおりだけだと なんとなくつまらなかったので、波しぶきが激しそうな箇所にだけ、キラキラと煌めくパウダーを軽くまぶしておきました。
このキラキラが多すぎると 波の自己主張が強くなりすぎるので、隠し味程度に留めています。
ジオラマを収納する箱は、ダイソーで購入した透明ケースにしました。
当初は、他の模型用ショーケースを購入したのですが、三笠はマストが高く、入らなかったのです。
すっぽり収まってくれましたね。
張線は、絹糸をほぐしてグレー塗料を染みこませたものを、一本ずつ接着していきました。
この張線作業がもっとも過酷でしたね。
ピンと張り過ぎると、マストが曲がるし、緩ませるとだらしない張線になってしまいます。左右の張力を同じになるように 張らないといけません。
油断すると、ピンセットの先端が 砲塔や手すりのエッチングパーツに 引っかかって、パーツを引っぺがしてしまう事故を招いたり。
たぶん、艦船モデルを製作した方にとっては あるある話ばかりなのでしょうが、アニメモデル中心だったわたしにとっては、その多くが非常に新鮮な体験でした。
次の艦船モデルは、幸運艦として有名な駆逐艦「雪風」か、アイドルだった補給艦「間宮」にしたいなあ、と思っています。