【製作】HGUCザク改は、実は改造前提のキットとして秀逸だった件。
まず、ちょっとだけ ザク改がガンダム界のデザインに与えた 偉大さについて触れさせてください。
初代ガンダムのザク(MS-06F)は 令和の今でこそ、市民権を回復していますが、それも デザインの変遷があったればこそなんです。
80年代に発表された、プロが作ったザクの模型をみてください。
旧キット・ザクって 胸が平たく、なんとなく のっぺりしていませんか?
大河原先生によれば、ザクは背広のラインをイメージしたそうなので(「ホビージャパンヴィンテージvol.5巻頭の大河原先生インタビュー記事」より)、ゴブスレの妖精弓主みたいに胸が金床なのは むしろ意図されたものだったのかもしれません。
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その一方で、ザク改の胸は、ドイツ陸軍のレオパルト2(レオパートツヴァイ)戦車のような、跳弾を意識した鋭角な形態をしています(増加装甲を備えたレオパルト2A5型のことですね)。
アニメのデザインとして見ても、ザク改の方が 明らかに情報量が多いんです。
では、現在のザクF型はどうなっているでしょう。
ほぼ四角い箱状だった胸には やや角度がつくようになり、腰にはくびれが追加されています。
これは、古いデザインだったザクF型が、ナウいデザインのザク改と同一世界線上にいられるように、少し手直しをされたものってことです。
今回は、こういうお話を交えながら、HGUCザク改の改造記事を 載せていこうと思います。
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と、いうわけで、まずは問題の胸部です。
ちょうどいい具合に、コクピットブロックが別パーツ化されています。
ザク改のコクピット構造って、立体的にものすごく考えられているんですが、ちょっと複雑なんですよね。
でも、赤いメインハッチも別パーツ化されているので、これはもう、
「コクピット開閉ギミックを、仕込んでくださいね」
という、バンダイからのメッセージと捉えるしかありません。
と、いうわけで。
ピンバイスでガイド穴を数珠状に開けながら、デザインナイフで上写真のようにカット。
この作例にとりかかった当時、「エナメル割り」を知らなかったんです。
まあ、アレは危ない禁忌技なので、ピンバイスでの分割法の方が正攻法でしょう。
さて、ザク改のデザインが与えた影響についてですが、HG版ジム・スパルタンのときに 長々と解説した内容と少し重複します。
「ポケ戦」という企画自体が、旧作からの離脱とやり直しを目的としていましたから、ザク改というデザインが発表された時点で、
「これからのザクは これでいくことにします。旧作のザクはなかったことに」
と公式に宣言されたようなものだったのです。
でも、プラモ化の際に ザク改という別の機体に再設定せざるをえなくなってしまいました。
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そこで困ったのが、新旧ザクのデザインが、同時代の世界線に同居しているようには 見えないくらい違う、という 問題だったのです。
こうして、古いザクのデザインラインが コッソリ手直しされていくように なりました。
●95年発売の、マスターグレード版ザク(ver1.0)
●96年開始の「08小隊」の06-J(JC)型ザク
これらを経年的に比較すると、微妙に胸にアールが ついていっているのがわかります。
06FZザク改との違和感を 減らすために。
ちなみに、連邦のジムでも同様の問題がおこりました。
初代ジムとジム・コマンドですね。
でも、ジムの方は、なんと開発系譜に「オーガスタ系」を設定する、というウルトラCな後付けをして、なんとか誤魔化すことに成功しました(が、そのせいで、一年戦争で連邦の機体バリエーションがものすごいことに)。
ずっと論調の展開ばかりだとつまらないので、プラモの改造に話を戻します。
コクピット開閉装置を自作。
針金は事務用クリップを切断したものです。
ちょうどいいサイズだったので。
この針金を差し込むヒンジをプラ板で自作。
こんな感じになりました。
閉じると。。。
これで、コクピットは開閉するようになりました。
あとは、本体に操縦席を設けるだけです。どうせ奥まっていて よく見えないので、ササっとつくるだけにします。
さて、ウンチク、というか持論のまとめです。
市民権を再獲得したザクⅡF型は、「ポケットの中の戦争」に登場したFZ型ザクⅡ改のデザインラインを 逆輸入して、別の言い方をすれば、ザクⅡ改との親和性を持たせられて モダンなザクに生まれ変わったのです。
というわけで、元祖ザクのデザインまで手直しをさせたFZ型ザク改の偉大さが 伝わったでしょうか。
実際、90年代に発売された プレステ1時代のスパロボ(Fとか)では、ザクといえばザク改でしたしね。
と、これくらいに。
お次はスカートアーマー。
こちらは1mmプラ板でドンッと延長。
近藤和久先生のデザインなどは極端な例ですが ジオン系はスカートがデカいと 威厳が増します。
サザビーとシナンジュを比べれば そうじゃないですか?
サザビーはいかにも重モビルスーツ然としているのに、後継機たるシナンジュは、ヘビー級からミドル級になった感じですよね。
頭部のモノアイはお手軽に可動させたいと思います。
まず、上部のように口のノズル部を切り取ります。
頭部天頂部パーツには、ごらんのとおり おあつらえ向きのダボ穴が。
ここに、L字型に切り取ったランナーを入れるだけです(ちょっと見えにくいですが、短くカットした 白いL字ランナーがあるの、わかります?)。
このL字ランナーと頭部パーツ内部を 黒く塗り、ランナーの先端に モノアイとなるクリアパーツを貼りつければ、可動モノアイの完成です。カンタン♪
続いて、肘関節の二重関節化と 前腕部のボリュームアップ。
この関節パーツは、コトブキヤのモデリングサポートを使用。
うまくハマるように、若干けずって調整。
腕は細すぎなので、1mmプラ板を挟みました
ランドセルは旧キットのモノを接続部がハマるように加工。
むかし、わたしは ザク改の旧キットを持っていたんです。
MS-06FZザク改の旧キットは、一時代を築いた名キットでした。
プロポーション、可動範囲、作りやすさ、どれも満足のいく傑作。
でも なぜか、わたしのキットは ジャンクパーツ化していましたが。。。
さて、そんな旧キットのランドセル。ボリュームが ちょうどよかったので、そのまま使ってしまいました。
ここで思うんですけど、HGUCザク改を改修するミソは、横に広げることだと思います。
画像を無断で貼るわけにはいかないので 各自で試してほしいんですが、HGUCザク改の完成見本写真ってあるじゃないですか。バンダイの公式サイトに。
あれを、「ペイント」などの画像ソフトで 横に10パーセントくらい拡大してみてください。
だいぶ設定画に近くなりますよ。
スパイクアーマーは、HGUCザクⅡのものを、縁がザク改らしくなるように修正してとりつけます。
胸部は樹脂粘土で大幅に盛り上げます。
そんなこんなで、形状を整えたあと、グレーのアクリル塗料をサフ代わりに塗り、グリーンに塗装していきます。
(中間の作業を撮影していません、すみません。)
最後に、スミ入れ。
このブラック、ただの水彩絵の具です。ダイソーの。
水で薄めて、綿棒でふき取ってみます。
綿棒には湿り気をもたせています。
拭く、というよりは、かるくトントンと余分を吸い取る感じです。
一般的な エナメルで「トン、ツツー」ってやつじゃないです。
どっちかというと、ぼかしでの陰影の強調といった方が近いかも。
うすめ液が ただの水ってあたり、経済的かつ健康的です。
それにしても、アクリルって水性のくせに、乾くと耐水になるのも素晴らしいです。
最近は、もう100均のアクリル塗料を使った筆塗装がわたしのメインです。
だらだらとした記事になってしまいましたね、反省。
完成記事はコチラになります。