エフトイズの1/144 F-14Bトムキャット(TOMCAT)をつくろう!【完成編】
F-14B TOMCAT(トムキャット)
F-14シリーズは、アメリカ合衆国の旧グラマン社が開発した第四世代ジェット戦闘機である。長距離ミサイル迎撃構想に基づいて開発された本機は、アメリカ海軍、空軍の意向を取り入れながら、1970年に試作機を初飛行させるに至った。ところが、油圧系統の故障やスパローミサイルの自機への命中、着陸の失敗など、その開発過程では様々な事故、失敗が続いたという。本機の配備は1973年から始まったが、初期生産型のF-14Aに搭載されたプラット&ホイットニー社製TF30-P-412エンジンは、機体重量に比して推力が不足していた。そのうえ、容易にストールを発生させることが原因で、双発エンジン特有のローイング・モーメントを誘発し、是正困難なフラットスピンを惹起させてしまうリスクを抱えていた(このF-14の弱点は、映画<トップガン>でも描かれている)。この問題の解決は、エンジン制御のデジタル化、もしくは後発のF110-GE-400エンジンに変更したF-14A+型の完成を待つことになる。なお、もともと本機は新型エンジンへの換装を前提に設計されていたが、エンジンの不具合、価格の高騰化などによってその計画は著しく滞る結果となった。新型エンジン換装型をB型、電子機器のアップデート型をC型とするが、最終的に両者を統合したA+型が開発され、91年にA+型を改めて<B型>と呼称するようになった、というややこしい逸話をもつ。そのほか、D型の開発、イラン空軍での独自運用、そしてスーパートムキャット21構想など、F-14にまつわるエピソードには枚挙にいとまがない。
世界でもっとも売れる戦闘機のプラモデルって、なんでしょう?
答はF-14です。
自動制御の可変翼によって、高速性と運動性を両立させ、射程距離200キロメートルを誇るAIM-54フェニックスミサイルを装備、かつ最大6機のマルチロック・同時攻撃機能を有する凶暴さが、この戦闘機を神格化させているといえます。
(もっとも、フェニックスミサイルの実戦例は イラン・イラク戦争と湾岸戦争のみで、なおかつ最大射程での発射だったため 命中には至っていません。)
飛行機の専門雑誌などは、F-14を表紙にするだけで 売り上げが上がるそうですし、1/32スケールキットが 複数回にわたって 発売されている事実からも、本機の知名度が高いことは明らかです。
マクロスのVF-1バルキリーが トムキャットをモチーフにしている点も外せませんね。たしか、スパロボαでは「F-14に似ている」というメタ的発言も飛び出していました。
そんなF-14を いつか作ってみたいな、とボンヤリ思っていたところに、今回のエフトイズ製食玩が手に入ったのは、まさに僥倖でした。
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まずは正面。
これで1/144サイズの食玩。
驚きとしかいいようがありません。
機種先端に備えられたピトー管ですが、今回の製作中に 落っことして破損させてしまいました。
極細のしんちゅう線に置き換えましたが、バレていませんね。
キット付属のデカールを貼ったのですが、途中で敗れてしまい、本来のマーキングとは異なります。
まあ、素人のご愛敬ということで許してください。
で、ミソのエンジンノズル。
A型で使用された旧エンジンと、A+型以降で換装された新型エンジンの差異にこだわってこそ、マニアによるF-14トムキャット製作の要となります。
が、正直なところ スケールモデルの素人であるわたしにとっては いまひとつ両者の外見の違いがわかりませんでした。1/144サイズだからというのもあるのでしょうか(F-14関連の実機写真は、ネット検索で山のように出てきます。こだわりたい人にとってはありがたい時代ですね)。
今回の塗装は、製作編その2でご紹介したように、彩色済みキットの上から 希釈したアクリル塗料をレインボー塗りしただけなのですが、「塗料が乾ききる前にスポイルする」を反復した結果、複雑な色味を出すことができました。
(機種先端だけは 合わせ目を消したあとに、同色で塗り直しました。)
なぜこの手法にしたかというと、アクリル塗料での筆塗りは 重ね塗りが必須なぶん、塗膜が厚ぼったくなり、1/144サイズのディテールラインが埋没する懸念があったからです。
彫り直す手間まで考えた末、上記のやり方に至った、というわけです。
カタパルトデッキのジオラマが欲しい一枚。
コクピット内部からチラ見される、黄色いインジェクションハンドルが いい味を出してます。
寸法的にはオーバーサイズだったのですが、タミヤ補正を参考にしました。
というわけで、1/144 F-14B トムキャットをお送りしました。
もちろん、往年のメビウス・ワンと ラーズグリーズ、そしてミッキー・サイモンを思い出しながら ひとりで「キーン、ブシュワー、ゴォウウウ」とブンドドしましたよ。