習作シリーズ パワード・ジム 無名生徒さんが生み出した簡単フィニッシュ法を楽しむ!
RGM-79 パワード・ジム
<機体解説>
宇宙世紀0083の「ガンダム開発計画」の一環で生まれた試験機。ガンダム試作一号機と同型の大型バックパックを装備し、その推力を評価することを目的としている。ベースとなったジム改では、新型バックパックから生み出される大推力に脚部が耐えられず、ショックアブソーバーが必要となった。
このパワード・ジムが発売された2006年という時期は、99年から始まったHGUCシリーズが軌道にのった頃にあたります。
HGUCシリーズでは、それまで未立体化だったモビルスーツにも焦点があてられ、つぎつぎと新作が発売されました。
いまでこそ、HGUCシリーズは円熟期といってよく、初期のシリーズを評価する際に「色分けされていない」「可動範囲がせまい」と言われますが、ずっと(現在進行形で)HGUCの発展と歩み続けたユーザーのひとりとしては、こうした批判的意見は いささかゼイタクな印象を感じてしまいます。
自分なりの手を加える余地がのこされているからこそ、楽しみがあるんじゃないのかなあ、と。
ほどよく不完全な方が、わたしは好きです。
少なくとも、2006年発売のこのパワード・ジムでは、すでに二重関節構造と肩の引き出し機構が採用されており、よほどこだわらない限りは2023年時点で見ても遜色ないプラモデルだと思います(←この記事を書いていて 思い出しましたが、ジム改やジム・ストライカーは、このパワード・ジムのバリエキットなんですよね、そういえば)。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
さて、まずは全身の写真です。
やっぱり カトキ立ちがよく似合いますね。当たり前か。
わたしは未プレイですが、「ギレンの野望 アクシズの驚異Ⅴ]ではパワード・ジムが かなり優遇されていて、リック・ディアス以上の高性能機に設定されているんだとか。いくらなんでも。。。
背面の大型バックパックが映えますね。
そういえば、試作1号機って、河森正治さんのデザインですよね?
で、このパワード・ジムのベース機となった ジム改は、カトキハジメさんが「ガンダムセンチネル」でデザインしたジムを 転用したものというハナシは あまりにも有名。
パワード・ジムの胸上部の追加ユニットも、ヌーベル・ジムⅢの名残りですし。
さて、そのカトキハジメさんは、試作一号機のデザインに思うところがあったそうで。。。
パワード・ジムに着けられたバックパックが、試作一号機のものとまんま同一じゃないあたり、カトキさん個人のこだわりが 垣間見える気がします。「こうあるべき」と。
いやいや、斜め上のかんぐりです。コア・ファイターへの変形機構をオミットしたから、試作一号機とパワード・ジムのバックパックは ちょっと違うってことになってるんでしょうけど。
ハナシを作例解説にもどします。
この作例は、成形色を活かしたまま コピックペンでの汚しと墨入れをする、いわゆる簡単フィニッシュ法の習作です。
なので、合わせ目消しはおろか、よーくみると ゲート処理すらテキトーです。。。
まあ、ローターでダメージ表現を追加して、ゲート跡がめだたないように ごまかしているんですが。
そういえば、パワード・ジムの俯瞰って あまり見ないですよね。
ああ、シールドのアタッチメントにゲート跡がっ(汗)
この簡単フィニッシュ法の歴史ですが、もともとは月間ホビージャパン(HJ)誌1999年4月号で、「成形色を活かした簡単フィニッシュ法」と題して大々的に紹介されました。
でも、あまり知られていませんが、そのちょっと前の号で MAX渡辺氏のプラモ教室の生徒さんが、コピックでこの手法を用いているのを、MAX氏ご本人が感心したように紹介しているんですね。
その生徒さんの名前も出ていたんですが、あいにく当時のHJ誌は すでに手元にないため、これ以上の詳細はおぼえていません。
つまり どういうことかというと、簡単フィニッシュ法は、99年のHJ4月号でMAX氏の作例が あまりにも凄すぎたので MAXさんが開祖という風に思われている方が多いんですが、真の始祖は、その生徒さんだってことなんです。
MAXさんは、小田雅弘さんをはじめとしたモデラ―たちが 大量にHJからモデルグラフィックスに移籍した一大事件後も、HJ誌に残り続けた恩人でもあるわけで(柿沼秀樹著「How to ホビージャパン」より)。
ああ、また勘繰りですね。やめましょう。
ともあれ、この簡単フィニッシュ法は 今では初心者でもそれなりの作例に 仕上げられる点で、立派に確立した塗装法に育っています。
革命的な簡便さを発見、開発してくれた生徒さん。ありがとうございました。
HGシリーズは素組みでも十分かっこいいというのを、あらためて 実感します。
くやしいのは、一生懸命になって未立体化の機体を製作したり、ギミックを仕込んだりしても、立ち姿のみで評価されるコンテストでは、ただの素組みにすら 負けてしまうことが しばしばあるってことです。
競おうとすること自体が良くないんですね。
コンテストなんてものは、だれか一人に認めてもらえればラッキー♪ くらいの気持ちで十分なんでしょう。
最後に、陸戦型ジムと共演。
なにか 大型モビルアーマーでも あらわれて悪さをしているんでしょうか。
ひっぴり腰って、自立させるのが むずかしいんですね。
このパワード・ジムの製作記事はないです。
そろそろ、習作シリーズじゃないのをアップしますね。