1/144フルカラーモデルグフ 幻の彩色済み旧キットをフル改造!
MS-07 グフ
もともとジオン軍の想定していた対地球連邦軍の戦略では、地上での大規模、かつ長期戦闘はサブプランに過ぎなかった。ところが、コロニー落としでの電撃的な勝利を掴むことに失敗したことで、ジオン軍は地球降下作戦による資源の確保と連邦軍拠点の各個無力化を余儀なくされたのである。ゆえに、地上戦用に開発されたMS-07グフは、戦争の継続が決定してから設計されたモビルスーツといえる。それにも関わらず、グフがわずか数か月でザクを凌駕する性能をもってロールアウトした事実から、ベース機となったザクⅡの拡張性の優秀さがうかがわれる。また、本機を地上戦用に特化させて、開発方針を単純化・簡易化した軍の方針が、時勢を俯瞰したうえで正鵠を射ていたといえよう。
長々とジオラマ-ホネの髄まで-の製作記事を書き連ねてまいりました。その製作編は だらだらと-その8-まで続いてしまい、冗長しくなってしまいました。すこし反省。
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まずは正面。
もともとのキットの状態を再掲載してみましょう。
こうして比べてみると、改造によって だいぶ印象が変わったのではないかと思います。
とは言っても、本来の彩色を消さないことを優先しましたので、プロポーションに関わる改修ポイントは、肩の位置と脚部の幅増し工作です。
地上用という設定のため、汚し塗装やクラッシュ表現も派手にやりたいところでしたが、それをグッとこらえて最小限に。
グフといえば、鬼神のように睨みをきかせた頭部が特徴的ですので、キットの削りカスをパテ代わりにして、カメラ周囲のひさしを整形。
ランバ・ラルが ザンジバルの格納庫でグフに搭乗しようとする、あのグフの初登場シーンこそが グフ顔のすべてだと思います。
そのほか、スカート内にはシルバーに塗装したメッシュをしこみ、かつフィンガーバルカンには 金属線を入れて可動指にしました。
このポージングをやりたかったんです。
肩関節にスイング構造、腰と胸に”ひねり”と”前後屈”の可動化工作を設けていますので、アムロとの一騎打ちシーンも再現できます。
ヒートサーベルは、いちどプラ板で原型をつくったのち、おゆまるでuvレジンに置換したものです。黄色を混ぜて着色したほか、内部にネオジム磁石を封入したので、柄との脱着が可能です。
武装一覧。
盾はプラ板と石粉粘土でスクラッチ。腕とのマウントはネオジム磁石方式です。
ザクマシンガンはジャンクパーツから。たしか、08小隊テレビシリーズの陸戦型ザクの マシンガンだった気がします。
あのザク、コクピットも造形されていて かなり出来がよかったんですよね。
発売当初は 陸戦型ガンダムと抱き合わせ販売されていたはずです。
しばらく経ってから単独発売された記憶がありますが。再販してくれないかな。
また、背中にも武器を懸架するためのアタッチメントを仕込みました。
背部右側のデカール付近にネオジム磁石が入っているのですが、
このようにマウントラッチを装着させて、
弾倉を外したマシンガンを ぶら下げることができます。
お察しのとおり、弾倉もネオジム固定。スカートアーマーにも装着ポイントを設けています。
ランドセルから腰部に向かう動力パイプは、クリップを曲げて芯にしたものに、筒状の樹脂粘土を通したものです。チラリと見える金属部分、というのが好きだったので、もっとディテールを増やそうと思い、クリップに極細の金属線も巻きつけています。
マシンガンのストックが上腕部に干渉するため、しんちゅう線でヒンジを設けました。
シールド裏には、磁石でヒートサーベルの柄を収納(装着)させることができます。
ランバ・ラルの乗機を思い出しながら改造したものの、「ジオン軍デカール」にグフレディがあることに気がつき、勢いのままシールドにグフレディを貼りつけてしまいました。これでラル大尉機ではなくなりました。
でも、グフレディはグフにしか用途がないじゃないですか。。。
そして、恒例と化したコクピット開閉ギミック。
胸腹部の可動軸を後方に設けたことで、なんとかコクピットを仕込む空間を確保できました。
もっとも、今回の製作上の制限で 四方・天井を作れなかったので、角度によってはスカスカになってしまいますが。。。
製作記事のときも書きましたが、アムロ対ランバ・ラルの一騎打ちの場面を見る限り、グフの座席って へそのあたりではなく、下腹部なんだと思うんです。骨盤内というか。
あのオレンジの部分は、コクピットモニターのあたりなので、パイロットのお尻が座る座席は、もう少し下方に沈んでいると思います。
地上戦用の機体なので、重心のバランスが優れた位置を優先した、という設定を付け加えられそうです。やっぱりザクとはちがうんですね。
以前アップした、HGUCザクとのニコイチで作ったグフと比較してみましょう。
こうしてみると、かなり違いますね。同じ機体なんですけど。
右のグフは、胴体部をザクから作っていますので、コクピットの位置がみぞおち辺りになっています。
もともと初代HGUCグフは、グフカスタムから逆算してデザインされたもので、発売当初からファースト世代のユーザーから「オレの知っているラルグフじゃない」という意見が相次いでいました。
だから、リバイブ版グフは、「これで満足か!」と言わんばかりのラルグフ120%の出来栄えとなったのです(と思います)。
また、今回はグフのスカート問題に対するアンサーとして、股関節そのものが引き出される構造にしてみました。
前回のグフとは違うアプローチにしたかったのです(あと、フルカラーモデルならではの もとの彩色を活かすため、切り刻めなかったのです)。
スクワット姿勢にして比べてみると、二つの改造方針の違いが見て取れます。
関節構造自体が引き出される方式ですと、フロントアーマーに擦れて塗装が剥がれる心配がありませんが、ワカメちゃんが しゃがんだような感じです。
一方の、動力パイプ自体にスプリングを設けて、フロントアーマーそのものが前後にスイングする方式だと、姿勢が自然になる反面、スプリングのバネ力でパーツのポロリが生じやすいです。
両者とも一長一短がありますね。
そうそう、忘れていましたが、山根のグフも参考にしました。
足にはスプリングを内蔵しています。これで崖もひとッ跳びです。
さいごに、コチラ。
スナップフィット化させて、改造した内部が見えるようにしました。
実は、このだらしない姿こそが完成形です。
ジオラマ編でもお伝えしたとおり、アレコレと仕込んだギミックは、展示会では全く評価されません。
それに対する反骨心から生まれたギミックなのですが、昔からHJ誌の改造記事などで「こう改造すると、どこがどう動くようになるかな」と、仕組みを眺めるのが好きだったことも影響しているかもしれません。
現代の「無改造でもフル可動」というガンプラにしか接していないユーザーにも、昔ながらの改造を見てもらいたい、それがガンプラ45周年の歴史を表現するという、ガンプラエキシビションの意義では、、、などと熱く考えたわけです。家庭の事情で参加できませんでしたが。
というわけで、個人的には幼少期から手元に残っていたフルカラーモデルの1/144グフを、レストア、あるいはそれ以上に完成させられたことに満足しています。